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2016年5月16日月曜日

壊れた海辺 :ピーター テンプル |読んだ本


壊れた海辺 :ピーター テンプル |読んだ本

これは掘り出し物だった。まったく聞いたことがないオーストラリアの作者だが、なかなかおもしろい。 貧困地域のアボリジニと裕福な白人の対立がある中ので警察小説である。知らない世界が見えて興味深い。こういう異質な環境でもミステリー小説としてドライブすることができるのだな、と思ったが、考えてみると日本のミステリーを読む外国人も、同じような気分を味合うんだろうな。

 オーストラリアというと革新派の政治の強い地域として有名で、この人や同じくオーストラリア在住のグレック イーガンも、過激な環境保護活動などにへきへきする描写が出てくる。まあ、そうなんだろうな。右翼はもちろん勘弁してほしいが、まったく無批判的な左翼というのも、迷惑なものだ。

おもしろいことにこの主人公も壊れた家を自力で建て直している。ミステリー小説や映画では、主人公が古い家を一人で建て直しているという率がやたらと高い。この件について語られてる文を見たことはないので、俺くらいしか注目していないだろうが、気をつけてみるとみんな家を建て直している。興味深い現象である。

不思議なことに日本の小説では家を建て直してる主人公を見たことがない。家は大工が作るものという文化の違いだろうか。このへんを屁理屈をつけて考察すると本が一冊書けると思うがどうだろうか。

 いかにもどんでんがえしのために用意したような正体不明なホームレスが出てくるのだが、この人が良い味を出している。俺の推測では、最初は、どんでんがえしがあって実はこの人が犯人だったのではないか。でも、現代の小説では『意外などんでん返し』などをやると小説世界が安っぽくなるので、そう判断して変えたのではないか。

けっこう描写に長い部分を割かれているが、読み終わって冷静に構成を分析してみるとこのキャラクターはストーリーにも事件にもなにも関係がない。ただの状況描写の役割しかない。それにしては長すぎるので、やはり、最初はどんでん返しに使おうと思っていてやめたが、いまさら削除するには、小説の雰囲気作りの要素に深く関わりすぎてるので切れなくなってしまった、というところではないか、などということを考えた。


壊れた海辺 (ランダムハウス講談社文庫 テ 3-1) 文庫 – 2008/10/10
ピーター テンプル (著), 土屋 晃 (翻訳)

英国作家推理作家協会最優秀長篇賞受賞
オーストラリア推理作家協会賞5度受賞、
世界のミステリ界を瞠目させた実力派が満を持して日本上陸!

社会奉仕家殺害事件の容疑者を追い詰めた警察は、
アボリジニの若者2人を射殺。事は一件落着に見えたが・・・・

捜査ミスから同僚を死なせ、心身ともに傷を負ったキャシン刑事は故郷の海辺の町に戻り、
小さな警察署で働き始めた、そんな折り、
隣町で篤志家として知られる老人が殺害され、彼は捜査に駆り出される。
高価な時計を売りにきたアボリジニの若者たちに容疑がかかり、彼らを追い詰めた警察は
2名を射殺、1名を逮捕、事は落着に見えたが、キャシンは納得しなかった。
単独捜査を続けるキャシンのまえに、やがて驚くべき真相が!

内容(「BOOK」データベースより)
捜査ミスから同僚を死なせ、心身ともに傷を負ったキャシン刑事は故郷の海辺の町に戻り、小さな警察署で働き始めた。そんな折り、隣町で篤志家として知られる老人が殺害され、彼は捜査に駆り出される。高価な時計を売りにきたアボリジニの若者たちに容疑がかかり、彼らを追い詰めた警察は2名を射殺、1名を逮捕、事は落着に見えたが、キャシンは納得しなかった。単独捜査を続けるキャシンのまえに、やがて驚くべき真相が。
著者について

ピーター・テンプル
1946年、南アフリカ生まれ。後にオーストラリアに移住。
新聞や雑誌の記者・編集者として活動後、作家としてデビュー。
処女作でネッド・ケリー賞新人賞8オーストラリア推理作家協会賞)を受賞。
以後8作の長篇を発表。都合5度、ネッド・ケリー賞を受賞し、オーストラリア・ミステリ界の第一人者となる。
本書で、英国推理作家協会(CWA)の最優秀長篇賞を受賞、世界各国でも評価が高まっている。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

テンプル,ピーター
1946年、南アフリカ生まれ。後にオーストラリアに移住。新聞や雑誌の記者・編集者として活動後、作家としてデビュー。処女作でネッド・ケリー賞新人賞(オーストラリア推理作家協会賞)を受賞。以後8作の長篇を発表。都合5度、ネッド・ケリー賞を受賞し、オーストラリア・ミステリ界の第一人者となる。『壊れた海辺』で、英国推理作家協会(CWA)最優秀長篇賞を受賞、世界各国でも評価が高まっている

土屋/晃
1959年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務を経て翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報

    文庫: 560ページ
    出版社: 武田ランダムハウスジャパン (2008/10/10)
    言語: 日本語
    ISBN-10: 4270102403
    ISBN-13: 978-4270102404
    発売日: 2008/10/10

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