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2018年8月26日日曜日

素晴らしい政府官僚がいたらどうなるか?『隠蔽捜査』今野敏:今日のミステリー


『隠蔽捜査』今野敏。こっちはちょっと大衆小説寄りのテイストがある。しかし、出てくる人間たちが素晴らしく『この続きを見てみたい』という罠にかけられてしまう。

内容的には『素晴らしい政府官僚がいたらどうなるか?』という、かなりの飛び道具なもので、その興味だけで一冊最後まで緊張感を持続している。

で、この先、シリーズ化して続いていくのだが、もう官僚じゃなく、所轄の署長に立場が変わっている。本当は一冊で終わるつもりが、できが良すぎたので続けてしまったのではないか。キャラクターが良いのでしばらくは行けると思うが、内実はけっこう苦しいのではないか?


最高傑作のひとつ。『警官の血』佐々木譲:今日のミステリー


『警官の血』佐々木譲。

佐々木譲の超大作で最高傑作のひとつだと思う。三世代の警察官の人生が描かれている。一世代目の終戦直後の警察官の人生がけっこう牧歌的な部分があったのに対し、二世代目の学生運動世代の警察官の人生の殺伐さの対比が目を引く。

北大の左翼活動家の組織にスパイとして乗り込むのだが、生半端な緊張感ではない。これは怖い。これでは確かに被害妄想にとらわれて精神に異常をきたしてもおかしくはない。


2018年8月10日金曜日

『暴雪圏』佐々木譲:今日のミステリー


『暴雪圏』佐々木譲である。昨日ブログに書いた駐在が活躍する長編。大雪と嵐で交通が麻痺して、所轄署が動けず駐在が事件を追うという話。これもひじょうに良い。駐在が活躍する話はこれで終わりだろうか。続きはなさそうだ。

駐在を出すと、地元に密着した警察官ということでベタな人情ものに行きたくなる誘惑にかられると思うが、そこは断固をして拒否している。作家としての矜持がうかがえる。それは安易な道だからね。


2018年8月9日木曜日

『制服捜査』佐々木譲:今日のミステリー


『制服捜査』佐々木譲。

佐々木譲はたまたまブログを何年も読んでいた。なかなか気難しい人だな、と思ったりするのだが、ずっと見てたのだからなにかしら訴えるものがあったのだろう。

それで、ありがちな話だが小説は読んだことがなかったが、ある日、日本の現在のミステリーを読まなくては思い、佐々木譲ほかいろいろ買い占めてきた。

そうしてようやく読んでみたのだが、実に素晴らしいものだった。こんなすごい作家を単に気難しいおっさんと思ってブログを読んでたのか。今では尊敬して敬愛してる。

いちばん好きなのが『制服捜査』で、これは書くのが大変だと思う。北海道、日高あたりの駐在が主人公である。ミステリーを展開するにあたって問題は二点だ。

(1)田舎なので殺人事件なんか数十年に一度くらいしか起きないはず。

(2)そもそも駐在は殺人事件の捜査をしない。

たいへんだ。とても主人公と設定に魅力があるのだが、(1)はどうしたらいいかわからない。かなり苦しんで書いてるようだ。

(2)に関しては、大雪で所轄署が動けなくて駐在が捜査しなくてはならない、などと設定を考えて作っている。法律によると日本では、駐在も殺人事件を捜査してもかまわないそうだ。一般人が逮捕することもできるくらいだから。ただ現実的には、組織が良い顔をしないだろうし、やることはないだろうと思われる。

自分で書くなら、(1)駐在が事件に巻き込まれて捜査するしかなくなる巻き込まれ型か(2)駐在が犯人に恨まれて解決しないと自分が殺される、という設定にするかな。


2018年8月4日土曜日

『行きずりの街』志水辰夫:今日のミステリー


『行きずりの街』志水辰夫

かつて読んだミステリーの中の最高傑作。自分の中では一番だな。ミステリー作家としての総合的な一番は佐々木譲と思っている。しかし、作品単発としては、これが一番だ。中間小説出身でなんでも書く人らしく、純粋なミステリーはあまり書いてないらしいが。

良い点は2点。異常な人間の描写がうまい。この中では、主人公の男を『せんぱい』と呼ぶ敵の犯罪者が出てくるが、この男がエゴイストすぎて敵か味方かわからなくレベル。全体としては、もちろん敵なのだが、倫理がいっさい崩壊していて、自分の利益しか考えないので、味方にさえなってしまうという、すさまじさ。それとストーカーの女もやばい。

もう一点は、窮地に陥った主人公のやけくそぶり。もう作戦もなにもないが、やけくそになって行動してどうにかするというところに、熱く燃える魂を感じた。



2018年5月29日火曜日

停電する。『ブラックアウト』マルク・エルスべルグ / 今日の読書


停電する。『ブラックアウト』マルク・エルスべルグ / 今日の読書

ヨーロッパの作家によるパニックもの。ドイツの作家らしいがローカルさが出ると売れなくなるのか、あえてドイツはさけて、イタリアを舞台にスタートしてEUのブリュセルに移動する。こういうバカバカしいベストセラーはアメリカが得意だが、ヨーロッパの作家も工夫して、ワールドワイドな感じを出そうとがんばってるようだ。『ダビンチコード』は、はるかに超えてないと思われる。


2018年5月26日土曜日

『ミスティック・リバー』デニス・ルヘイン / 今日のミステリー


『ミスティック・リバー』デニス・ルヘイン / 今日のミステリー

これがまた実に濃厚な傑作で。しかし、傑作なのだがオチはこれでいいのかな、と思う。俺なら別な終わり方にするが。ただ、この設定とストーリーの流れで他にもっとカタルシスのある終わり方はあるだろうか。そのへんがむずかしいところだ。全編に緊張感がただよう。

2018年5月25日金曜日

『死の教訓』ジェフリー・ディーヴァー


『死の教訓』ジェフリー・ディーヴァー。 ジェフリー・ディーヴァーの『ボーン・コレクター』を書く前の初期の作品。これがひじょうに濃厚で人間がよく書けていてすばらしい。解説によるとこれのあとくらいから、すごい作家に変貌したとあるが、もうじゅうぶんすごいのではないか。



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2018年5月24日木曜日

『天使と悪魔』ダン・ブラウン


『天使と悪魔』である。ダン・ブラウン。出た頃に一回読んだのだが、また入手したので読んだ。ひじょうにおもしろい。『ダ・ヴィンチ・コード』が有名だが、できはこっちのほうがいいと思う。



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2017年12月28日木曜日

『ゲイトウエイへの旅』フレデリック・ポール|今日のSF


『ゲイトウエイへの旅』フレデリック・ポールである。ようやく最後まで来た。ゲイトウエイ2でちらっと出てくる宇宙のトラック運転手(スペーストラッキングである)、ウォルサーズが主人公の番外編短編集である。

話の内容を見ると『ゲイトウエイ4』よりこっちが先に書かれているように思われる。ウォルサーズのほうがゲイトウエイ本体の主人公より肉体派なので、読んでいてふつうに爽快感がある。ハードボイルド的主人公だな。

ふつうはこっちのタイプを主人公に据えるものだが、フレデリック・ポールにはスペースオペラのようなものにはしたくないという断固とした意思と計算があったのだろう。

このへんまで読む人はすでにすっかりゲイトウエイの世界観にはまっているはずで、少しでももっとゲイトウエイを読みたいと思っていることだろう。そういう人向きという気もしなくはなくて、自分ももちろん楽しめた。これで終わるとは寂しく思ったものだ。


ゲイトウエイへの旅 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 1992/2
フレデリック ポール (著),‎ Frederik Pohl (原著),‎ 矢野 徹 (翻訳)

内容紹介
A collection of tales and vignettes chronicles humankind's discovery and exploration of the Heechee artifacts and provides a companion to the novels of "The Heechee Saga"

五十万年前に太陽系を訪れ、なにに使うかもわからない奇妙な物や不思議な建造物を残したまま、いずこかへ消え去った謎の異星人ヒーチー。金星の地下都市スピンドルに住むウォルサーズは、そのヒーチーの残したトンネルに観光客を案内して生計をたてている。めったに来ない大金持ちの観光客をつかまえたウォルサーズの命がけのトンネル・ガイドを描く「金星の商人」ほかの連作を収録する巨匠ポールの人気シリーズ番外篇。

文庫: 315ページ
出版社: 早川書房 (1992/02)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150109621
ISBN-13: 978-4150109622
発売日: 1992/02



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