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2018年8月10日金曜日

『暴雪圏』佐々木譲:今日のミステリー


『暴雪圏』佐々木譲である。昨日ブログに書いた駐在が活躍する長編。大雪と嵐で交通が麻痺して、所轄署が動けず駐在が事件を追うという話。これもひじょうに良い。駐在が活躍する話はこれで終わりだろうか。続きはなさそうだ。

駐在を出すと、地元に密着した警察官ということでベタな人情ものに行きたくなる誘惑にかられると思うが、そこは断固をして拒否している。作家としての矜持がうかがえる。それは安易な道だからね。


2018年8月9日木曜日

『制服捜査』佐々木譲:今日のミステリー


『制服捜査』佐々木譲。

佐々木譲はたまたまブログを何年も読んでいた。なかなか気難しい人だな、と思ったりするのだが、ずっと見てたのだからなにかしら訴えるものがあったのだろう。

それで、ありがちな話だが小説は読んだことがなかったが、ある日、日本の現在のミステリーを読まなくては思い、佐々木譲ほかいろいろ買い占めてきた。

そうしてようやく読んでみたのだが、実に素晴らしいものだった。こんなすごい作家を単に気難しいおっさんと思ってブログを読んでたのか。今では尊敬して敬愛してる。

いちばん好きなのが『制服捜査』で、これは書くのが大変だと思う。北海道、日高あたりの駐在が主人公である。ミステリーを展開するにあたって問題は二点だ。

(1)田舎なので殺人事件なんか数十年に一度くらいしか起きないはず。

(2)そもそも駐在は殺人事件の捜査をしない。

たいへんだ。とても主人公と設定に魅力があるのだが、(1)はどうしたらいいかわからない。かなり苦しんで書いてるようだ。

(2)に関しては、大雪で所轄署が動けなくて駐在が捜査しなくてはならない、などと設定を考えて作っている。法律によると日本では、駐在も殺人事件を捜査してもかまわないそうだ。一般人が逮捕することもできるくらいだから。ただ現実的には、組織が良い顔をしないだろうし、やることはないだろうと思われる。

自分で書くなら、(1)駐在が事件に巻き込まれて捜査するしかなくなる巻き込まれ型か(2)駐在が犯人に恨まれて解決しないと自分が殺される、という設定にするかな。


2018年8月4日土曜日

『行きずりの街』志水辰夫:今日のミステリー


『行きずりの街』志水辰夫

かつて読んだミステリーの中の最高傑作。自分の中では一番だな。ミステリー作家としての総合的な一番は佐々木譲と思っている。しかし、作品単発としては、これが一番だ。中間小説出身でなんでも書く人らしく、純粋なミステリーはあまり書いてないらしいが。

良い点は2点。異常な人間の描写がうまい。この中では、主人公の男を『せんぱい』と呼ぶ敵の犯罪者が出てくるが、この男がエゴイストすぎて敵か味方かわからなくレベル。全体としては、もちろん敵なのだが、倫理がいっさい崩壊していて、自分の利益しか考えないので、味方にさえなってしまうという、すさまじさ。それとストーカーの女もやばい。

もう一点は、窮地に陥った主人公のやけくそぶり。もう作戦もなにもないが、やけくそになって行動してどうにかするというところに、熱く燃える魂を感じた。



2018年5月29日火曜日

停電する。『ブラックアウト』マルク・エルスべルグ / 今日の読書


停電する。『ブラックアウト』マルク・エルスべルグ / 今日の読書

ヨーロッパの作家によるパニックもの。ドイツの作家らしいがローカルさが出ると売れなくなるのか、あえてドイツはさけて、イタリアを舞台にスタートしてEUのブリュセルに移動する。こういうバカバカしいベストセラーはアメリカが得意だが、ヨーロッパの作家も工夫して、ワールドワイドな感じを出そうとがんばってるようだ。『ダビンチコード』は、はるかに超えてないと思われる。


2018年5月26日土曜日

『ミスティック・リバー』デニス・ルヘイン / 今日のミステリー


『ミスティック・リバー』デニス・ルヘイン / 今日のミステリー

これがまた実に濃厚な傑作で。しかし、傑作なのだがオチはこれでいいのかな、と思う。俺なら別な終わり方にするが。ただ、この設定とストーリーの流れで他にもっとカタルシスのある終わり方はあるだろうか。そのへんがむずかしいところだ。全編に緊張感がただよう。

2018年5月25日金曜日

『死の教訓』ジェフリー・ディーヴァー


『死の教訓』ジェフリー・ディーヴァー。 ジェフリー・ディーヴァーの『ボーン・コレクター』を書く前の初期の作品。これがひじょうに濃厚で人間がよく書けていてすばらしい。解説によるとこれのあとくらいから、すごい作家に変貌したとあるが、もうじゅうぶんすごいのではないか。



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2018年5月24日木曜日

『天使と悪魔』ダン・ブラウン


『天使と悪魔』である。ダン・ブラウン。出た頃に一回読んだのだが、また入手したので読んだ。ひじょうにおもしろい。『ダ・ヴィンチ・コード』が有名だが、できはこっちのほうがいいと思う。



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2017年12月28日木曜日

『ゲイトウエイへの旅』フレデリック・ポール|今日のSF


『ゲイトウエイへの旅』フレデリック・ポールである。ようやく最後まで来た。ゲイトウエイ2でちらっと出てくる宇宙のトラック運転手(スペーストラッキングである)、ウォルサーズが主人公の番外編短編集である。

話の内容を見ると『ゲイトウエイ4』よりこっちが先に書かれているように思われる。ウォルサーズのほうがゲイトウエイ本体の主人公より肉体派なので、読んでいてふつうに爽快感がある。ハードボイルド的主人公だな。

ふつうはこっちのタイプを主人公に据えるものだが、フレデリック・ポールにはスペースオペラのようなものにはしたくないという断固とした意思と計算があったのだろう。

このへんまで読む人はすでにすっかりゲイトウエイの世界観にはまっているはずで、少しでももっとゲイトウエイを読みたいと思っていることだろう。そういう人向きという気もしなくはなくて、自分ももちろん楽しめた。これで終わるとは寂しく思ったものだ。


ゲイトウエイへの旅 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 1992/2
フレデリック ポール (著),‎ Frederik Pohl (原著),‎ 矢野 徹 (翻訳)

内容紹介
A collection of tales and vignettes chronicles humankind's discovery and exploration of the Heechee artifacts and provides a companion to the novels of "The Heechee Saga"

五十万年前に太陽系を訪れ、なにに使うかもわからない奇妙な物や不思議な建造物を残したまま、いずこかへ消え去った謎の異星人ヒーチー。金星の地下都市スピンドルに住むウォルサーズは、そのヒーチーの残したトンネルに観光客を案内して生計をたてている。めったに来ない大金持ちの観光客をつかまえたウォルサーズの命がけのトンネル・ガイドを描く「金星の商人」ほかの連作を収録する巨匠ポールの人気シリーズ番外篇。

文庫: 315ページ
出版社: 早川書房 (1992/02)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150109621
ISBN-13: 978-4150109622
発売日: 1992/02



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『ゲイトウエイ4―ヒーチー年代記』フレデリック・ポール|今日のSF


『ゲイトウエイ4―ヒーチー年代記』フレデリック・ポールである。これがちょっと半端な作品で、番外編の短編集『ゲイトウエイへの旅』のあらすじをもう一回まとめたようなへんな作りになっている。どういう事情があったのだろうか。

ヒーチーの子供と意地の悪いジャイアンっぽい人間の子供が出てくるが、これが仲が悪いようでいっしょに行動をしていて、友情のようなものが生まれる。まあ、子供ってそうだよね、とフレデリック・ポールにしては心優しい視線で描写がされているのが珍しい。

でも、子供たちの頭が実は宇宙人にスパイ装置として利用されていたと判明して、プロットの道具立てとしての役割と終えたら、あとは一切出てこなくなるあたり、フレデリック・ポールの血も涙もないストーリーテリング技術の一端がうかがわれる。

子供は話作りには便利だからもっと手綱をゆるめて子供たちの友情のいい話ですませても良かったんじゃないかな。そういうカタルシスにもっていかないところが、フレデリック・ポールらしいところである。


ゲイトウエイ4―ヒーチー年代記 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 1989/2
フレデリック・ポール (著),‎ 矢野 徹 (翻訳)

内容紹介
Robinette Broadhead desperately tries to prevent the mysterious Foe from putting an end to all intelligent life in the universe

暗殺者たちが潜む球電に向けて、地球から謎のメッセージが送信された。地球に暗殺者の協力者がいたのか?メッセージの送信所は、南太平洋のムーレア地区。しかも、メッセージが送信された直後に、この地区ではヒーチー人の少年と東洋系の少女が行方不明となっていた。機械貯蔵の知性となったロビネット・ブロードヘッドは、アインシュタイン・プログラムの助力もあおいで、事実の究明に乗りだすが…宇宙創成と“失われた質量”の関係、そしてヒーチー人が畏怖する暗殺者たちの実体がついに明かされる!巨匠ポールの好評シリーズ第4部。

登録情報
文庫: 331ページ
出版社: 早川書房 (1989/02)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150108102
ISBN-13: 978-4150108106
発売日: 1989/02




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『ゲイトウエイ〈3〉ヒーチー・ランデヴー』 フレデリック・ポール|今日のSF


『ゲイトウエイ〈3〉ヒーチー・ランデヴー』 フレデリック・ポールである。ええと、3はどんな話だったかな。なにしろ、半年前に前に読んだのを書いてるので記憶が定かではないが、この巻もまだまだ充実しておもしろかった覚えがある。

ヒーチー人の筋肉ばかりで脂肪をもっていないという造形はずいぶんと影響をうけた。これはどういう仕組みの人体構造なのだろう。現代のハードSFなら、この時とばかり最近の生物学の知識を羅列してうんちくを描写してる部分なのだが、昔の話なので説明がない。

ヒューマノイドなので基本的には人類とあまり違いはなさそうだ。人間は脂肪にエネルギーをたくわえて、ブドウ糖に分解して消費する仕組みだが、ヒーチー人はアンモニアの匂いがする、という描写が繰り返しなされているので、そのへんのシステムでエネルギー変換をしているのだろうと思われる。どういう仕組みかは想像がつかない。

わざわざアンモニアの匂いと書かれているくらいだから、フレデリック・ポールの中ではちゃんと生化学的な設定がなされていると思われる。

あとイカみたいな知性生物も発見されるのだが、これなんかもっと展開してもいいと思った。


ゲイトウエイ〈3〉ヒーチー・ランデヴー  (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 1988/11
矢野 徹 (著),‎ フレデリック・ポール (著)

内容紹介
"The Heechee are one of the great creations of science fiction."
Jack Williamson
After millennia had passed, Mankind discovered the Heechee legacy (an alien culture that fled to the reative safety of a black hole)--in particular an asteroid stocked with autonavigating spacecraft. Robinette Broadhead, who had led the expedition that unlocked the many secrets of Heechee technology, is now forced once more to make a perilous voyage into space--where the Heechee are waiting. And this time the future of Man is at stake....
A SCIENCE FICTION BOOK CLUB SELECTION
THE HEECHEE SAGA
Book One:GATEWAY
Book Two:BEYOND THE BLUE EVENT HORIZON
Book Three:HEECHEE RENDEZVOUS
Book Four:THE ANNALS OF THE HEECHEE

ヒーチー・ヘブンの発見で、ヒーチー船の操縦方法の解読が進み、人類は自在に宇宙空間を航行できるようになった。もはや、ブラック・ホールも恐るるにたりない。だが、地球の慢性的な人口過剰を解消するには、ヒーチー船の輸送スペースはあまりにも小さかった。最大の輸送船でも一度に四千人しか運べないのだ。政財界の大立者となったロビネット・プロードヘッドは現状打開のため、自分のコンピューター科学顧問、アルバート・アインシュタインに、ヒーチー人探索の究極のプログラミングを開始させるが…。好評シリーズ、待望の第三部登場。

文庫: 281ページ
出版社: 早川書房 (1988/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150107955
ISBN-13: 978-4150107956
発売日: 1988/11





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